映画「ラースと、その彼女」ネタバレなし感想 こんな優しい映画は他にありません

映画感想
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突然自分の兄弟姉妹、親、友達が「恋人ができた」と報告してきたらどんな反応をするでしょうか。きっとそれなりに祝福し、どんな人で出会いは何かとか聞きますよね。

しかし恋人として紹介されたのが、ラブドールだったらどうでしょう

普通に引きますよね。ついにおかしくなったと。こいつヤベェと。

“恋人”そっちのけで何があったのかと真剣に聞き出すか、それ以上その人に近づくことをやめる人もいるでしょう。

しかしそんな“恋人”を受け入れ、応援してくれる人たちがいたとしたら…

そんなある意味でファンタジーで、同時に優しさに溢れた映画こそが

「ラースと、その彼女」

監督は後にアカデミー賞でも話題になった「アイ、トーニャ」やディズニー実写映画「クルエラ」を撮ったクレイグ・グレスビー、主演は寡黙な男を演じさせたらピカイチのライアン・ゴズリング

定期的に見返したくなるような、優しい人たちによる優しい映画、「ラースと、その彼女」ネタバレなしレビューです!

映画「ラースと、その彼女」あらすじ

雪が降り積もる小さな田舎町に暮らすラースは、人一倍優しいけどシャイで女の子が大の苦手。そんな彼がある日、恋人として兄夫婦に紹介したのは、なんと等身大のリアルドールだった! 弟が完全に正気を失ったと呆然とする兄のガス。義姉のカリンはダグマー医師に相談するが、「ラースの妄想を受け入れることが大切」と助言される。住民たちもラースへの愛情から、ビアンカを生身の女性として扱うことに協力。「彼女」の存在はいつしか人々の心を動かしていくが…。 

FOXネットワークスHPより

映画「ラースと、その彼女」スタッフ、キャスト

  • 監督:クレイグ・グレスビー
  • ライアン・ゴズリング(ラース)
  • エミリー・モーティマー(カリン)
  • ポール・シュナイダー(ガス)
  • ビアンカ(ビアンカ)

映画「ラースと、その彼女」ネタバレなし感想

舞台は小さな田舎町。優しくて内気な主人公ラースは、兄夫婦の住む家のすぐ隣で暮していますが、突然兄夫婦に「恋人ができた」と報告に来るわけです。

ラースの内気さを人知れず心配していた兄夫婦は純粋に喜びます。ついに弟も身を固め始めると。

しかし自宅に招いたあと紹介されたのは、ビアンカという名前らしいラブドールだった…。

まずこの掴みに引き込まれますよね。コンセプトがいい。

自分の周りにそういう人が出てきたらどうするか。多分苦笑いしたまま硬直します。

やさしい世界

しかしこの映画では、そんなラースとその彼女を受け入れようと町のみんなが寄り添っていくんです。

特に兄の妻カリンは懸命にラースを理解しようとしながらも、同時にさりげなくラースのメンタルもケアもしようとしてくれます。この時点でだいぶ優しい。

さらに町のマダムたちはビアンカの身なりを整えてくれるし、「ブラジルから来た宣教師」であるビアンカの体の状態を診るためにお医者さんだって一緒になって診察してくれる。優しいを通り越して尊いです。

その中で実の兄のガスだけは「こいつついにイカれたぞ…」という、至極真っ当な反応でラースに向き合います。

この映画におけるガスのポジションはすごく重要で、観客の感情をガスが代弁してくれるのから映画と観客の距離をすごくちょうど良い距離感に保ってくれているんです。彼のおかげで観客は物語から置いていかれないし、優しい世界における辛口なコメディとしても作用しているので作品を凄く見やすくしてくれています

とはいえラースを否定する人はほとんど登場せず、みんなの根底には愛と受容があります。観ているうちにこの“やさしい世界”の居心地が本当に良くなってくるし、作品の登場人物の中に混じってラースとビアンカのために何かしてあげたくなるような、不思議な魅力を持った映画です。

ライアン・ゴズリングの持つ魅力

観ていると、この映画をより魅力的にしているのはラース役を務めたライアン・ゴズリング自身の魅力が大きいことに気付きます。

ライアン・ゴズリングといえば、「ラ・ラ・ランド」での静かに夢を追うジャズピアニストや、「ドライヴ」の寡黙でミステリアスな主人公など、寡黙でクールなイメージがありますし、そんな役どころが多いですよね。

本作でライアンが演じたラースは、まだそういった作品に出演する前ということもあり上記のようなイメージとは全く異なる、シャイでどこか傷を抱えているけど誰よりも優しい、ある意味新鮮な役どころ見事に演じていました。

この映画が“頭のおかしい人しかいないバカげたもの”にならなかったのも彼が持つ魅力のおかげなのかもしれません。

正直僕は彼のどんな作品よりも、この映画で見せた演技が彼のベストアクトだと思っています。というかシンプルにめちゃくちゃ好き。

ラースは見ていて大丈夫かと心配になるけど、その分困っていたら助けてあげたくなるような彼の繊細な演技こそ、この作品の魅力を大きく押し上げたと感じます。

最後まで目が離せない脚本の妙

物語は進むにつれ、ラースとビアンカのこれからの関係を描きながら、ラース自身が抱える過去のトラウマにフォーカスしていきます。

“心を病んだ主人公が連れてきた恋人を温かく受け入れる”だけの物語に終始せず、その奥に隠れたトラウマや傷を丁寧に描いた脚本には登場人物たちへの愛を感じますし、何よりも見ていて飽きません。

ラースとビアンカの関係だって進むべきステップとその障害が見えてきます。

ラースを取り巻く環境や彼自身が少しずつ前に進み始めた時、ラースはビアンカとの関係をどう続けていくのか、続けていけるのか。最後まで観客を食いつかせる脚本には唸りました。

まとめ

実はこの映画、制作過程においてもビアンカを本物の女優として扱っていたそう。現場にはビアンカ用のトレーラーが用意されていたり、撮影していない時に着る用の私服まで用意されていたとのこと。

制作の裏側まで優しいとは優しさに隙がありません。もう聖人の集まりです。

本作はアカデミー賞脚本賞にもノミネートされ素晴らしい評価を得た作品です。監督を務めたクレイグ・グレスビーの出世具合を見ても、どれだけ評価されたのかよくわかりますよね。

殺伐とした現実社会に疲れたら、ラースとその彼女と一緒に優しい世界に飛び込んでみるのも良いんじゃないでしょうか。

きっと病みつきになりますよ。

以上!

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