映画を観た後、その作品の凄みや余韻に圧倒されしばらく席から立てないほど、打ちのめされる映画体験をしたことはあるでしょうか。
エンドロールが流れる間、目を閉じて今観てきた奇跡を振り返るその瞬間は、形容し難い多幸感に包まれます。
1986年に公開されたトム・クルーズ主演の「トップガン」。30数年の時を経て続編として製作・公開された本作「トップガン マーヴェリック」は、まさにそんな映画体験を味わうことができる、並の言葉では表現したくないほどの大傑作でした。
普段映画を観る人も観ない人にも、とにかく多くの人に観てもらいたい素晴らしい作品です。
今回の感想では前作「トップガン」を含め、本編の内容に触れていきますので、前作・今作どちらも観ていない方は必ず本編ご鑑賞後にお読みください!
先に言うと、まじでめちゃくちゃ良いです。語彙力が消し飛ぶくらいには素晴らしい作品でした。
可能ならば前作「トップガン」をご覧になってから、劇場で!!ご鑑賞ください。
それでは、ネタバレあり感想いきましょう!
映画「トップガン マーヴェリック」あらすじ
アメリカのエリート・パイロットチーム”トップガン”。
かつてない世界の危機を回避する、絶対不可能な【極秘ミッション】に直面していた。
ミッション達成のため、チームに加わったのは、トップガン史上最高のパイロットでありながら、
常識破りな性格で組織から追いやられた”マーヴェリック”(トム・クルーズ)だった。
なぜ彼は、新世代トップガンとともにこのミッションに命を懸けるのか?
タイムリミットは、すぐそこに迫っていた——。
公式HPより
映画「トップガン マーヴェリック」スタッフ・キャスト
- 監督:ジョセフ・コシンスキー
- トム・クルーズ(ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル)
- マイルズ・テラー(ブラッドリー・“ルースター“・ブラッドショー)
- ジェニファー・コネリー(ペニー・ベンジャミン)
- グレン・パウエル(ジェイク・”ハングマン“・セレシン)
- ヴァル・キルマー(トム•”アイスマン“・カザンスキー)
映画「トップガン マーヴェリック」ネタバレあり感想
冒頭から褒めちぎっちゃってますが、なにも僕は”トップガン“の大ファンではありません。前作だって、サブスクのマイリストに入れて7年間ぐらい放置してました。
もちろん「トップガン」は当時を代表する作品であり、トム・クルーズを一気にスターダムに押し上げて一時代のトレンドを築いた偉大な作品であることは知っていました。
30手前の僕の親世代からしたら、ほぼ全人類が観たんじゃないかぐらいの作品であることも承知しています。
が、正直前作を観ても「流行るのもトム・クルーズがここから売れるのもわかるけど、まあこんなもんか」的な一歩引いた感想でした。嫌いじゃないんですけどね。
そもそも空撮シーンは切り替えが目まぐるしい上にヘルメットとマスクしてるせいで、今写ってるパイロットが誰かサッパリ分からないみたいな感じはありましたし、そもそもああいう戦闘機ものはぶっちゃけそんな興味がありません。
という歪な姿勢だったんで、今作も全く期待していませんでした。全く。「どうせまたそこそこな感じで過ぎていくんだろうな」と。
しかしそんな僕が、度肝抜かれるほど本作に心掴まれその魅力に打ちのめされてしまったわけです。
まさかこの映画でそんな体験が待っているとは思ってもいませんでした。
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「トップガン」へ払われた最大の敬意
あれだけの映画の続編ですから、当時リアルタイムで観ていた人を筆頭に多くの人がどんな続編か期待して本作を待ち望んでいたはず。
もちろん製作陣もそれを理解した上で、この作品を作り上げていたことは容易に想像できるのですが、前作要素をこれでもかと詰め込んだオープニングには一気に引き込まれました。
ケニー・ロギンスの「Danger Zone」が身を刺すように鳴り響き、真オレンジの夕陽をバックに映る戦闘機の数々。タイトルコールからキャスト・スタッフコールの字体まで前作のまま。まさにその瞬間はスクリーンが1980年台後半にタイムスリップしたような、とてつもなくノスタルジックなオープニングで幕をあけます。
もうこの時点で前作ファンは完全に心掴まれますよね。ファンでない僕がそうでしたから。
そして冒頭一発目からトム・クルーズ演じるマーヴェリックの登場。命令に反きマッハ10を超える飛行を行い、その後教官として”トップガン“への復帰を命じられるこの序盤の流れは、前作のファンが誰しも気になる「トップガン」のあれから…的な部分にフォーカスを当て、今のマーヴェリックのキャラクター性を的確に示した、続編として上手すぎるシークエンスの連続でした。
もちろんマイルズ・テラーが登場して物語の中心になることなんて観客は分かっていますから、導入部分はマーヴェリックのみにフォーカスを当て、現在の彼の物語に集中するという作りは前作のファンや「トップガン」への最大の敬意の表れだと感じます。というかシンプルにめちゃくちゃ上手い。
前作からアイスマンが大出世しているのに対し、マーヴェリックは出世を拒みどこまでも現場主義を貫いている姿も印象的です。
前作の敬意や愛で言えばそれだけではありません。
マーヴェリックがカワサキのバイクに跨り、F-14?と並走するシーンなんか「トップガン」を思い出さずにはいられないほど、作品を象徴するシーンですし、
バーでトップガンの生徒たちと遭遇してしまい、後に講義で再会するくだりなんかは、マーヴェリックの立場が逆転した前作のセルフオマージュです。
なによりも、前作で相棒であったグースの息子・ルースターを演じたマイルズ・テラーは、口髭が生えているのもあって生き写しといっても良いぐらいグースの影を感じる見事な役作りでした。
今作「トップガン マーヴェリック」は、映画の隅々まで「トップガン」という作品やそれを愛するファンの方々への敬意と愛に満ちた素晴らしい続編であり、なによりも「トップガン大好きチーム」によって作られた、最高のオタク映画とも言えるのではないでしょうか。
語られるべき物語
トップガンに復帰するマーヴェリックと訓練を受けるエリート中のエリートのパイロットたち。世界の脅威に立ち向かうべく極秘任務への準備を進めますが、映画のキーとなるのはパイロットの中に相棒・グースの息子であるルースターがいること。
グースの死に関して状況からも非がないのは明らかですが、マーヴェリックは未だに罪悪感を抱えていますし、海軍に提出されたルースターの願書をグースの奥さんの願いから破棄したことでマーヴェリックはルースター本人からも恨まれているような状態。
マーヴェリックとルースターの間には、明らかに解消していくべき問題が残っている。
そして本作ではマーヴェリックが抱える過去の清算とその贖罪、父親代わりとして果たして行くべき責任を真正面から描いていきます。
あとはもう本当に、とにかくグースとルースターが似過ぎているんです。あれはズルい。本当に。
ルースターが「Great Balls Of Fire」を演奏するシーンなんかは本当に胸が熱くなりました。「ああ、、グースがそこにいる…」と。
マーヴェリックとかつての相棒・グースの息子との物語こそ、観客が待ち望んだ語られるべき物語であると感じますし、続編映画として「無理に使った感」を感じさせません。
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マーヴェリックの覚悟
終盤には実際に任務へ向かうことになりますが、マーヴェリックはパイロットの中から合格者としてルースターを選出します。
僕はもうこの瞬間から映画が終わるまでずっと泣いていました。
未だにグースの死を受け止めきれず、人知れず罪悪感を抱えるマーヴェリック。今度はその相棒の息子が現れ、死の危険がある任務への参加を志願してくる。
マーヴェリックからしたらたまったもんじゃありません。しかも自分の意思一つでその任務に参加させるか否かを決められてしまうわけです。
相棒の死さえ乗り越えられていないマーヴェリックは、ルースターを死なせるようなことは絶対にあってはならないと考えていたはず。最悪の事態が起きた時に抱える自分の罪悪感を考えれば、ルースターの参加を拒否すれば済む話です。
しかしマーヴェリックは、任務中の自分の相棒とも言える僚機のパイロットにルースターを指名します。かつての相棒の息子を。なんですかこの展開は。
ここにマーヴェリックの編隊長として決めた覚悟と決意があると感じますし、その男気にボロボロと泣いてしまいました。
そして最後には無事任務を遂行し2人とも帰還すると流れるメインタイトル、空母で向き合うマーヴェリックとルースター。胸熱と言わずなんと言うのでしょう。
ルースターの眼差しには男として父としてマーヴェリックを慕う熱いものが溢れ、マーヴェリックも目の前の男からかつての相棒の面影を感じると同時に、深い愛情を持ってルースターと向き合います。
マーヴェリックとグースの2人をフラッシュバックさせるのと同時に、マーヴェリックとルースターの関係性が確固たるものに成長したことを示す、本当に見事なシークエンスであると感じました。
そしてこの瞬間こそ、マーヴェリックが自分を許した瞬間なのではないでしょうか。
この終盤の一連は、前作からの物語も含めまさに映画が起こした奇跡と言わざるを得ません。
映画の神、トム・クルーズ
そして、この映画がここまで素晴らしい作品になった一番大きな要因は製作も務めたトム・クルーズの情熱であると確信しています。
前作「トップガン」でのアプローチと同じく、徹底して“本物”にこだわり、戦闘機が飛行するシーンは実際に俳優が乗り込みそこで演技した映像を使うといったこだわりには頭が上がりません。
俳優たちがコックピットで歪めるその表情も、まさに本物。
もちろん俳優たちの訓練も想像を絶し、嘔吐・失神なんて日常茶飯事だったようです。
そしてこうした方針を決め作品に大きな愛を持って製作に取り組んできた人こそトム・クルーズだったわけです。
本作はコロナ禍で映画業界が大打撃を受ける中、誰よりも映画の力を信じ映画を愛した男の渾身の一本です。
それを観る我々も、生半可な気持ちで観てはいけないといち映画ファンとして素直に感じましたし、終盤は「大変な中、こんな体当たりで最高の映画を作ってくれてありがとう…トム…」と思いながら涙を流してました。もう自分でもなんの涙かわかりません。
俳優としてそこまで好きではありませんでしたが、映画ファンとして、ここまで愛情を持って映画を製作してくれているトム・クルーズの人間性に完全にやられました。
これからも、映画の神様トム・クルーズに着いて行こうと思います。
トム・クルーズ、ダイスキ。
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まとめ
というわけで、ほんと最高でしたね。
長々書きましたが、まとめるとその一言です。数文字です。
こんな長く見にくい文を最後まで読んでくださりありがとうございました!!
また次の映画でよろしくお願いします!
以上!
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