MCUいよいよフェーズ5の開幕。
その第一作目になるのは、アベンジャーズ最小ヒーローの”アントマン”。エンドゲームの時と同様、フェーズ5でも鍵を握る重要な役回りとなりそうな雰囲気がすごいですよね。
そして本作はついに”マルチバース・サーガ”のラスボスと思しきヴィラン、征服者・カーンが堂々と登場する、フェーズ5の開幕でありながらいよいよMCUが大きく動き出す重要な一本。
地に足ついた良い意味で箸休めな前2作から、本作は大きく世界観を変えて”スターウォーズ”への露骨なまでのオマージュ満載かつ、さながらスペースオペラな一本。
ネタバレありでレビューします!
映画「アントマン&ワスプ:クアントマニア」あらすじ
アントマンは、<量子世界>に導く装置を生み出した娘キャシー達とともに、 ミクロより小さな世界へ引きずり込まれてしまう。そこで待ち受けていたのは、過去、現在、未来すべての時を操る能力を持つ、 マーベル史上最凶の敵、征服者カーン。彼がこの世界から解き放たれたら、全人類に恐るべき危機が迫る…。
公式HPより
映画「アントマン&ワスプ:クアントマニア」キャスト・スタッフ
- 監督:ペイトン・リード
- ポール・ラッド(スコット・ラング/アントマン)
- エヴァンジェリン・リリー(ホープ・ヴァン・ダイン/ワスプ)
- マイケル・ダグラス (ハンク・ピム)
- ミシェル・ファイファー (ジャネット・ヴァン・ダイン)
- ジョナサン・メジャース (カーン)
- キャスリン・ニュートン (キャシー)
映画「アントマン&ワスプ:クアントマニア」ネタバレあり感想
注意
これまでのMCUのネタバレを含みます。
必ず本編鑑賞後にお読みください。
個人的にアントマンはすごい好きというわけではなくて、演じるポール・ラッドが魅せるキャラクター性と集合映画になった時のアクセントとしての活躍がピカイチという印象。大きな思い入れもないので、めちゃくちゃフラットな感覚で観れるキャラクターです。
先に総評を一言で言うと、「良い意味でも悪い意味でも安定して楽しめる一本」といったところでしょうか。
終始楽しく観れる一本であったのは間違いないんですが、今のMCUの平均点ジャストをきれいに叩き出してきたなという印象。フェーズ5の開幕、カーンの初登場という状況を考えるともう少しとび抜けた面白さがあってほしかったのが、いちファンとして正直なところです。
ファンの愛が故の…という辛口気味にはなりますがお付き合いください。
うまくハマらなかった、前2作からの方向転換。
本作は予告などからもわかるように、劇中のほとんどが「量子世界」での話。アメリカ・サンフランシスコを舞台としていたこれまでの「アントマン」とは大きく変わった点です。
さらに大きく変わったのが、作品の雰囲気。
それぞれ「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン」、「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」の直後に公開だった前2作は、集合映画での”スケール疲れ”をクールダウンさせてくれるような良い意味で箸休め的ポジションの映画でした。
一転して本作はシリアス多め。
舞台も大きく変わり、話の軸が親子にフォーカスが当たったことも作品の持つ雰囲気が大きく変わった一つの要因と言えるかもしれません。
「もう箸休めなんて言わせねえ!」的なことを監督のペイトン・リードが言っていたのは知ってたので、どんな感じになってるかなあと期待半分不安半分で観に行ったんですが、結果としては今までのアントマンの雰囲気の方が好きでした。
というより、今回起こした方針転換の方向性が若干うまくハマらなかったように思います。やろうとしてることは良いと思ったんですけどね…。
冒頭でも触れましたが、本作はかなり”スターウォーズ”です。
監督も意識したことを公言していますし多くの人がこのことに言及していますが、”スターウォーズ”みが強くて特段真新しさは感じません。
多様な宇宙生物的な種族とそこに出来たコミュニティ、圧政を行う独裁者とそれに反旗を翻す反乱軍(のようなもの)。途中の監獄?での逃避バトルシークエンスもさながらデススター内でのvs.ストームトルーパー戦です。
クライマックスのハンク・ピムによる超有能蟻軍団による援軍なんかは、そのアツさに一瞬興奮するんですけど、これまで何度も観てきたような展開で「ああ、またコレか」感がある。
これはスターウォーズやMCUをはじめとするSFもの、スーパーヒーローもの、ユニバースものが映画史の発展と共に台頭を表してきたことによる弊害の一つなのかもしれません。
この終始作品全体を覆う”既視感”がノイズとなり、なんやかんやと余計なことを考えてしまう一因となっていたのが非常に残念でした。
宇宙じゃなくて”量子世界”なんだから、もっとこれまでに見たことなかったような映像表現とか、ルールがあっても面白かったですよね。
超魅力的ヴィラン・カーン。なんだけど…
そして今回触れずにおけないのが、堂々登場のヴィラン・カーン。
初登場とは言うものの、ドラマ「ロキ」の最終話で”He who remains(在り続けるもの)”として、演じたジョナサン・メジャーズは登場しています。ただ、彼は無数に存在するカーンの変異体であり、本作「アントマン」でのカーンもある意味無数にいるうちの一人です。
まあこの辺は僕もまだよくわかっていませんし、これからわかっていく部分になると思いますが、フェーズ4~6の”マルチバース・サーガ”で恐らくラスボスになるであろうキャラクターがついに大きく登場した形となります。
そして、とにかく演じたジョナサン・メジャーズがまあ魅力的だこと…。
ジョナサン・メジャーズは、スパイク・リーの監督作でありチャドウィック・ボーズマンの晩年の作品にもなった「ザ・ファイブブラッズ」に出演し、そこで大きく名を馳せたことが記憶に新しい新生。僕もそれで彼を知ったうちの一人です。
「ロキ」で登場した”在り続ける者”の時は、相手を小馬鹿にしたコミカルさがありながら、どこかにある”ヤバさ”が漏れ出ている非常に特徴的なキャラクターを見事に演じていました。本作では終始シリアスめの”カーン”を演じており、ジョナサン・メジャーズのその演じ分けに大きく膝を打ってしまいました。
途中の回想シーンやラストバトルで見せる彼の圧倒的な強さや、「確かにコイツを野放しにしたら絶対ヤバイ」と思わせる”覇気”の出方が尋常じゃなくて、キャラクターとしてとにかく魅力が多い人物であると感じます。
劇中で彼の魅力は存分に伝わってきたんですが、問題は製作陣が彼をうまく生かし切れていなかったこと。前述したカーンの魅力は全て演じたジョナサン・メジャーズによるMVP級の働きによるものだと感じています。
非常に魅力的なはずなのに、よくある単作のヴィランとこれと言って変わらない…。
つまらなかったわけではないので別に良いっちゃ良いんですが、MCUフェーズ5の開幕・ラスボス級のカーン初登場という大きな節目になる映画がこの感じで良いの…?とどうしても思ってしまいました。卒なく面白い映画でいいのかよと。
終盤のラストバトルでも、特段肉弾戦にストロングポイントのないスコットがなんだかんだとカーンと殴り合えてしまって、しかも若干押し気味なのも意味がよくわかりません。この辺にヒーロー映画特有のご都合主義を感じてしまいます。
クレジットシーンにもあったように、”カーン”はまだまだ大量にいますし、その中でも親玉的なのもいるのでそれが本当の意味でラスボスという解釈なのかもしれませんが、まずは今回の”カーン”が圧倒的強者として登場する姿を見せてほしかったのが個人的な感想です。
求めるものが違ってましたかね???
まとめ
なんだかんだ笑えて楽しく観れたことは間違いないですし、つまらない映画だったとは全く思っていないんですが、マーベル・シネマティック・ユニバースを最初からリアルタイムで追いかけられて来たいちファンとしての、愛が故の辛口となってしまいました。本当はこんなもんじゃないだろと。
比較的平和で新登場のキャラ紹介や導入に充てられたフェーズ4から、いよいよ「アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ」や「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」への道筋が浮かんでくるフェーズ5。
本作で脚本を務め、アベンジャーズ5にあたる「カーン・ダイナスティ」の脚本を務めるジェフ・ラブネスは「新キャラ全員を炎の中に放り込む時」と表現してるようで、いよいよフェーズ4から始まった”マルチバース・サーガ”が音を立てて動き出す気配がしています。不穏な空気を帯びて。
今年はフェーズ5でも、キャプテン・マーベルの続編かつ集合映画でもある「ザ・マーベルズ」や、ドラマ「ロキ2」「シークレット・インベージョン」等々、重要そうな作品が並ぶ一年。どうか面白くあってほしい…。
とはいえ最近ケビン・ファイギが作品のペースを落とすと公言したようですね。正しい判断だと思います。
これからもまだまだMCUは好きですし、続く限り絶対に死ねないと思っていますので、しっかりと追いかけていこうと思います。
次はいよいよ、ガーディアンズ3!!!タノシミーー!!!
以上!
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