Netflixオリジナル短編「隔たる世界の2人」ネタバレなし感想 これは、現代の必修科目です

映画感想
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今の時代ほとんどの人が何かしらのサブスクに入っているでしょう。加入するサービスを選ぶ決め手は何でしょうか。

作品数、月額、付随サービスの有無、趣味嗜好…

いろいろあるかと思いますが、その中の一つにオリジナル作品の作品数と質の高さもあるのではないでしょうか。

そういった点では、Netflixは現時点で最強のサービスだと個人的には思っています。

Netflixのオリジナルコンテンツの質高さは言うまでもなく、アカデミー賞ノミネート・受賞の作品を輩出したり、ストレンジャー・シングスの様な全世界的なヒットを生み出した(いろんな意味で)モンスターシリーズも他サービスに先駆けていち早く発信してきました。

好きなNetflixオリジナル作品を上げればキリがないのですが、短編部門でいえばダントツだと言い切れる一本があります。それが

「隔たる世界の2人」

初めて観た時は目が離せない物語と作品の持つ力強いメッセージにぶったまげました。

そんな「隔たる世界の2人」、ネタバレなしレビューです!!

Netflixオリジナル短編「隔たる世界の2人」あらすじ

タイムループに閉じ込められた男が、愛犬の待つ自宅に戻る途中で白人警官と揉めて殺される恐怖を何度も繰り返す…

Netflix作品あらすじより

Netflixオリジナル短編「隔たる世界の2人」キャスト・スタッフ

  • 監督:トレイボン・フリー、マーティン・デズモンド・ロー
  • ジョーイ・バッドアス(カーター・ジェームズ)
  • アンドリュー・ハワード(メルク(白人警官))

Netflixオリジナル短編「隔たる世界の2人」感想

いやあ、ほんとぶったまげました。

この短編いわば人種差別をテーマとした直球で重厚なメッセージを持った作品です。

極めて真面目な作品です。なんですけど、

普通にエンタメとして成り立っているんです!!(スゴイ!)

実際に起きてしまったこと

この短編の根幹にあるのは、黒人市民が白人警官に無抵抗のまま殺されてしまった、実際に起きた事件の数々です。

当時も盛んに報道され記憶に今も新しいのは、2020年に起きたジョージ・フロイド氏の殺害事件。

この事件は、偽札の使用を疑われたフロイド氏が警察に逮捕された際、白人警官から膝で首を押さえつけられそのまま窒息死してしまったもの。

無抵抗にも関わらず、暴行を受けたのは時間にして約9分。許し難い暴挙です。

白人警官によるフロイド氏への暴行は、通行人に撮影されSNSを通じて当時大変な話題となりました。

「I can’t breathe (息ができない)」

と訴え続けたにも関わらず、無抵抗のフロイド氏に対して暴行を働き続けた白人警官はもちろん非難を浴び、当時同行していた3人の警官を含め全員が起訴されました。死亡させた張本人である白人警官は最終的に22年半の実刑判決を受けています。

本作はそういった事件を受けて、声を上げ続けること、亡くなってしまった人を忘れさせないことへのエネルギーが半端じゃない強大なメッセージを持った作品です。

本作の魅力

それだけでも大変価値のある作品なんですが、より多くの人に親しんでもらうという点で、本作を映像作品としてかなり魅力的にしているのが“タイムループもの”というSF要素にあります。

主人公の黒人青年は昨夜出会ったであろう美女の家のベッドで目を覚まし、会話もそこそこに帰路に着くが、途中で白人警官と揉めてしまい殺されてしまう…が、気づくとまた朝になりベッドで目が覚める。

という感じで彼はループを繰り返していくんですが、どうやら白人警官との衝突は避けられないであろうことがわかって来ます。

それを悟った青年はどうするのか、そして2人はどうなっていくのか。

最後まで目が離せない、本当に素晴らしい脚本です。

クライマックス以降では、本作がどれだけの想いと熱量で作られたのかというのが痛いほど伝わりますし、これが空想のSFではなく今まさに世界で起きている痛ましいことであることに気付かされます。

日本人として日本で暮らす上では、“人種差別”やそれによって起きる事件というのはあまり身近ではありません。

ですが、このような作品を通して世界で起きている実情を“知っていく”ことそれ自体に大変な価値があると感じます。

そういった意味ではこの作品は現代に生きる我々にとって「必修科目」とも言える作品の一つなのではないでしょうか。

まとめ

監督は、毎日同じような黒人市民殺害事件がテレビニュースで何度も報じられる事から、黒人の人々にとっては繰り返される悪夢のようなものであることを、本作をタイムループものにした理由として語っています。

主人公一人からしたら何度も繰り返される運命のようなSF的要素を孕みますが、これが黒人社会全体としたら、SFではなく実際に起きていることのメタファーであることが理解出来ます。

本作はアカデミー賞短編実写賞を受賞し、批評的にも大変評価された一本です。

30分の作品で手を出し易いので、まずは肩の力を抜いて是非観てみてください。

シンプルに面白いですよ!

以上!

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